放送用複合光ケーブルシステム

最終更新:2014年3月10日

No.1

私たちの放送部で使用しているBMDのStudioConverterとCameraConverterは、放送用のCCUなどのほとんどの機能を持っていて大変便利です(ホワイトバランスやアイリスなどは無いけど)。しかも1本(正確には1対)の光ケーブルで伝送できるのは大変ありがたい製品です。

しかし、かなり不満なところもあります。

汎用の光ケーブルが使用出来るのはコスト面ではよいのですが、もともと汎用光ケーブルって、設置して使う物なので、強度面では大丈夫かなぁと思ってました。。うちで使っているケーブルは、補強線が入っている強いタイプを使用していますが、コネクタ付近ではバラされてむき出しになるので、その部分は補強して使っています。

http://bct.tuinsbcc.net/fiber1/

もう一つ不満な点は、電源を別に送らなければいけないということです。ドリーでのカメラ移動したい場合、電源ケーブルも一緒に移動させなければいけない為、光ケーブルと電源ケーブルをビニテで一緒にしなければならず、大変煩わしい思いしていますそして、ケーブルが引っかかりやすく、絡まりやすいこと、ACアダプターがカメラ側に必要なことがあります。
昔使っていた、sonyのシステムは14Pの複合ケーブルに映像、タリー、インカム、電源などが1つになっていたと先輩から聞いています。そんな時、昨年の夏におこなわた総文祭富山大会で業者さんが持ってこられたカメラは、光ケーブルでタリーと電源も送れる複合ケーブルになっていると聞いて調べてみました。

http://www.canare.co.jp/leaf/lf2sm9n.pdf

kessenzu

光ファイバーが2本と電線が、制御用3本、電源用に2本、シールド1本の計6本あることがわかりました。

複合カメラケーブルを作っているメーカーの一つ、カナレさんに聞くと、光ファイバーはシングルモードと教えていただきました。

という事で、うちのカメラシステムに、この放送用複合光ケーブルが使えないかと考えました。

 

No.2

放送用複合光ケーブルはコネクター部分がかなり丈夫で放送業務に適していて、中に使われている光ファイバーもBMDのStudioconverterとCameraConverterの間に使われるファイバーと同じシングルモードということがわかりました。

カナレさんに、これに合う受けコネクターはないかと聞いたら、販売している事がわかりました。

リセプタルケーブル

受注生産らしく、長さやコネクターをSCからLCに変更してくれるそうです。

ただし、かなり高いです。

それと納期がかかります。1.5ヶ月ぐらい。実際には、仕様の打合せと、図面のやりとりで2ヶ月以上かかりました。

No.3

光カメラリセプタクルケーブルとカメラケーブル(100m)が到着し、BMDのStudioconverterとCameraConverterの間につなぎ映像伝送実験をしました。OLYMPUS DIGITAL CAMERA

光ファイバー部分を使用しての実験では、無事映像が出ました。

kesen

カナレから送られた図面のなかに上のような図面が送られてきました。(18AWG)とは線の太さで欧米の規格で、日本の規格では0.75sqになります。

調べてみると0.75sqで12v2A程度を100m伝送するのは電圧降下が多くて無理だという事に気が付きました。では、実際にメーカー製のカメラはどうしているか調べたところ、ソニーのカタログの仕様にはDC180vと書いてありました。

http://www.sony.jp/products/catalog/SPC_HSC-300RF.pdf

放送用複合光ケーブルはオスメスになっていて延長が可能な構造になっているので、何本もつないで長距離を伝送するようなことを想定されていると思います。

DC180Vを作って流したとして、かなり絶縁をしっかりしないと危険です。また高額な放送用光ケーブルを何本もカスケード使うのは不経済で、長距離を使いたい場合は普通の光ファイバーを使えば良いのですから、そんなに高い電圧は必要ないなと考えました。当初は48vで設計を始めました。

はじめはDC-DCレギュレータで48vを12vにする方法を考えたのですが、調べてみると、BMD CameraConverterは、31vまで耐圧があることがわかりました。

モニターはハンファQセルズのHM-TLB7ADを使用していますが、この製品、実はエーディテクノのCL75DHOPと同じ製品なのです。(値段は倍ぐらい違いますが)ハンファの仕様に書いていませんが、エーディテクノの仕様には24vまで使えると書いてありました。エーディテクノに確認したところ確かに使えると言っていました。(ただしハンファは無理といわれました。)うちの部に両方あるので、両者のフードなどが流用出来ることから、(ハンファのフードを壊したら、ハンファは部品対応してくれないので、エーディテクノに注文しています)ハンファのHM-TLB7ADに24vを入れたところ、ばっちりつかえました。

さすがにカメラは24vでは動作しません。以前の回路では3端子レギュレータ(7808)で12vを8vに降してつかっていました。(本当は7.2vなのですが)7808に24vを入れると壊れてしまうので、DC-DCレギュレータを使う事にしました。調べてみると、テキサスインスツルメンツのPT78ST108Vが12v~38vの入力範囲があり、8vを出力する事がわかり、しかも80%効率で熱も少なくピンが3端子互換です。

ただし出力電流は1.5Aです。うちのカメラたちでは大丈夫ですが、最近出たsonyのAX1などでは電流が足りません。本当はタリーの電気もここからとればいいかなぁと思っていたのですが、将来AX1の次のカメラが消費電力が少なくなってくれればいいかなぁと思い、タリーは別の回路にしました。

秋月のV7805-1000で5vを作り、5vで動作するように改良しました。これも31vまで耐圧があります。

そこでケーブルの電源電圧を、当初の予定電圧48vから24vにしました。これにより電源ユニットの回路を減らす事ができます。また以前の回路より効率が上がっていて熱も少なく総電流量も少なくなっているはずなので、100m1本程度なら大丈夫だろうと考えました。そして、なにより、電圧を下げることにより感電事故を防ぐことができます。晴れていれば48v程度なら大丈夫だとおもいますが、どうしても雨の日の外の収録もでてくる(体育大会などで途中で雨が降るなど)ので、48vでは、相当絶縁と防水が必要になります。

No.4

カメラ側のコネクターの固定には大変苦労しました。

一番最初に試作したのは次の写真のような金具です。アルミの板をベンダーで曲げて加工したものです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

コネクターの角度は45°にオフセットしています。

しかし、メーカー製のカメラはこのコネクタ部分が動く用になっているものが多くケーブルに負荷をかけないようにしているみたいです。

そこでいろいろな方法検討、試行錯誤を繰り返した結果、つぎのようなものにしました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

L形アングルに穴をあけて、側面をつけました。(材料鉄です)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

コネクタは上下に動きます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

コネクタを設置したところです。絶縁のためにアクリル板を挟み、ポリカーボネートのねじで固定しています。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

アクリルの絶縁板です。

 

【新開発】カメラアダプター新パワーユニット回路

放送用複合光ケーブルに接続する為、新パワーユニットを開発いたしました。

従来のものに比べ、電源の変換効率が向上しています。(変換効率80%以上)

powerunit

20140301-063333.jpg

従来のものに比べ、ひとまわり大きくなっています。